003 雨の中(あめのなか)



彼女は 淋しそうに微笑んでいた
ただ その髪を濡らして 僕を見つめていた
彼女に声をかけても ただ微笑んでいるだけ
彼女は僕を見つめていた

なんだろうこの気持ち
彼を一目見たときから 胸が痛い
声をかけられても ドキドキして何もいえない
まるで心が 雨に濡れているかのように

しとしとと雨が降る中
二人はただ 見つめあうだけ
雨は静かに振り続け
二人を濡らし続けた

(07/05/22)